【記事更新】ITを高くしているのは誰か? それは、あなただ!【第4回】
毎週火曜日に配信される、ダイヤモンド・オンラインの連載、こちらでお知らせするのをすっかり忘れてましたYO!
ITにまつわる悲劇の一つとして、「関係者みんなが加害者でもあるのに、自分のことを誰もが被害者だと思っている」という状況があります。
こういう話は、組織を観察していると、普通にあります。例えば前に書いたこれとか。
循環型「俺のせいじゃない」あるいは組織のいがみ合いを防ぐ方法:プロジェクトマジック:オルタナティブ・ブログ
これは組織構造が見えにくいから起きていることです。
そして、ITは目に見えないものだから、こういう構造により、陥りがち。そんな話です。
【書評】ITってお金がかかるのですね
コスモスさんという方が、コメント欄に感想を書いてくださいました。
ありがとうございます!こちらに転載します。
>私がITはツールなのだと思っても無理ない立場にいます。
と書かれています。
確かに、一市民としては、ITはツールとして使うことがほとんどです。だから会社にとってITが、単なるツールじゃないことが、言われてみないと分からないんですよね。
これについては、少し面白い話があります。出版社の営業会議で、この本について「ITってなんだ?」と話題になったそうです。
そこで編集さんが
「ウチの会社で言うと、○○システムのことですよ。皆さん毎日使ってるでしょ?」
と言うと、
「あー、アレのことか。確かにアレは問題大アリだわ。なんとかしてほしいよ!」と盛り上がったそうです。
そう、ビジネスマンでも、ITにあまり関わっていない方はイメージすらしにくいんですよね。
この本は、そういう方にこそ読んでいただきたいです。
とはいえ、イメージできないし、そもそも自分の仕事と関係があるとあまり思っていないから、手にとってもらえるかどうか・・。
*************************
著者に少し縁があるので半ば義務で本を開きましたが、難解な用語を使ってないこともあり、一気に読んでしまいました。
ITの本質を全く分かっていなかったことに気づきました。
2000年頃、当時の森総理が「イッツってなんだ?」と質問したことがあり、国会でも野党議員から「総理、ITはなんの略ですか」と聞かれたことすらあります。
思えば15年前はまだこんな認識だったのですね。
ちょうどうこの頃から私はITをツールとして使い始めました。
細かい字の時刻表をめくっていたのが、「駅探」などで一発に分かった時の感動。ソフトを使ってのHP作成。手書きが面倒になった今は、ハガキで注文にはするなど考えられません。
使っているというよりお世話になっているソフトは、これ以外にもたくさんあり、私がITはツールなのだと思っても無理ない立場にいます。
それが
「ITは道具ではなく血管であり骨格だ」
「ITを会社の武器にする」
「ITも自動車工場におけるラインと同様に会社を支える重要な装置だ」
ということを知って、ITの重要性がよ~く分かったような気がします。今の会社の情況が少し理解できました。
それにしても、ITってお金がかかるのですね。みずほ銀行のシステム再構築に2500億円もかかることが一番の驚きでした。
それも1回だけではすまず、熱海の旅館のようになったり、伊勢神宮のように20年ごとに新しくせねばならないと聞くと、気が遠くなってきます。
暇があったので2度読みして理解が深まりました。
【書評】『会社のITはエンジニアに任せるな!』はいいぞ!
「てくてくテクネコ」というブログを書いている加藤さんに、書評を書いていただきました。
ストレートに「いいぞ!」というタイトル。
そして、どの辺りがいいぞ!なのか、紹介くださっています。
例えば、
・ITを利用している企業なら、「あるある」と言いたくなる
・「ツール型IT」と「プラント型IT」に分けて考えることの有効性
・システム開発をする側にとっても、お客様の疑問や不満にきちんと
答える助けになる
などなど。
「経営幹部が自らプロジェクトオーナーになって、ITプロジェクトを積極的に進めていく覚悟を決めるための本」と理解しました。
とも、書いてくださっています。
実は、この本を出した後、「本を読んだ役員が、俺がプロジェクトオーナーをやる!と言い出した」みたいなメールをいただきました。
「経営幹部にも、主体的に関わってほしい」という漠然とした思いはあったのですが、こんなに即効性があるとは。
進研ゼミの広告風に言うと「役員のオーナーシップ不足にすぐ効く!」という感じ?我ながらちょっとおもしろかったです。
「はじめに」を公開しました
オルタナティブブログに、「はじめに」を掲載しました。
「いい本だよー」と上司や友人に紹介してくださる方が多くて大変嬉しいのですが、そんな時にはこのページのリンクをメールすると、試し読みができていいと思います。
ほら、本は合う・合わないがありますからね・・。合わないのに買ってもらうのも悪いし。
【書評】白川さんの言い換え・例えっぷりが絶妙
1冊目の本「反常識の業務改革ドキュメント」にも登場している、元同僚の高田さんが、Facebookで本を紹介してくれました。
こちらにも転載します。
>白川さんの言い換え・例えっぷりが絶妙
と褒めてくれてますが、一緒に仕事をしてた時に、お互いに新しい言葉を作りあってました。
「い~だ~シッペ」は確か高田さんが作った言葉だよね。
高田さん、紹介ありがとう!
***************ここから
前職の同僚(白川 克)の3冊目。
「会社のITはエンジニアに任せるな!」とのやや挑戦的なタイトル。
経営者とか、ノンIT部門の人が良く感じるあろう
「ITってなんで高いの?」
「なんでこんなに時間かかるの?」
「IT部門の人って、なんであんなに〇〇なの?」
という素朴な疑問に「IT用語なしに」答えてくれる今まであまりなかった本。
面白かったのは、彼のものの例え方。ファシリテーターは良く、「それってこういうことですよね?」とか「〇〇に例えると××ですよね」的な言い換えをして理解を深めたり、確認したりしますが、白川さんの言い換え・例えっぷりが絶妙。
「建築をダンスで表現してビルを建ててもらう」
「あなた作る人、私食べる人」
「カレーとラーメンと寿司がいくら美味しくてもひとつの鍋にぶちこんだらひどい味に..」
一見難しい事を簡単な言葉で表現する才能..見習いたいと思います。
でも、みんなめちゃくちゃ忙しいだろうに、本を書く時間どうやって捻出してるんですかねー。
【書評】電車の中で「そうそう!そうなんだよ!」と叫びそうに
メールで寄せていただいた感想を、許可をもらって転載します。
まさにこの本の想定読者である、「ご自分はエンジニアではないが、仕事を通じてITに関わっている方」です。
こういう立場の方に、「ITが切り口の経営書」と言っていただき、嬉しいですね。
印象的なコメントを少し書き出しますね。
・うちの会社を見て書かれたんですか?」と思うような内容
・平易な表現でイメージしやすい事例を盛り込んだ、ITが切り口の経営書
・IT=経営姿勢そのもの
・一番響いたのは「費用対効果で示せない判断こそが経営幹部の仕事」
・電車の中で「そうそう!そうなんだよ!」と叫びそうに
・なるほどPJやっても中途半端だったり頓挫するわけだ、と妙に納得
・現在進行中のPJではまさに書かれているような形で進んでしまったこともあり、大笑い
いや、この方、ブログへのアップではなく直接メールをくださったということは、ブログや執筆とか普段されていないとおもうんですけど、文才豊かですね~。情景が目に浮かびます。
ボケっと仕事せず、「これってどうなの?」と考えながら仕事をしている方にとって、ITや経営を巡る状況は、「???」となることが多いんですよ。
僕もそういうモヤモヤはずっと抱えていて、ようやく自分なりにきちんと説明できる様になったので、本を書いた次第です。
個人的にはあと2年…いや、1年早く出版して欲しかった。
とも書いてくださってます。
「5年早く」と言ってくださった方、「3年」と言ってくださった方などもいらっしゃいます。
ありがたいんですが、2014年、2015年の仕事の結果生まれた本なので、1年前の僕には書けなかったですね~。
感想を寄せていただき、ありがとうございました!
****************ここから
今、2周目読んでます。
前著「業務改革の教科書」に引き続き、今回も「うちの会社を見て書かれたんですか?」と思うような内容でした(笑)。
非常に(これでもかという程)わかりやすく・易しく・ユニークな表現で書かれており、ITに苦手意識を持っている人や日頃あまり活字を読まない人でも楽しく読めると思います。
逆に小難しく書かれている方が高尚、かつレベルが高いと思い込んでいる方は見向きもしされない可能性はあるかなと(色々な事柄を自省に繋げられない人には元々無用ですが)。
この本は「平易な表現でイメージしやすい事例を盛り込んだ、ITが切り口の経営書」と思います。
中で書かれている通り、このご時世ITは不可欠かつ大きな投資は経営判断の上で成されるものなので、個人的にはIT=経営姿勢そのものと思います。
また人材育成の重要性の他、様々な会社で問題や問題の元になっている事例から仕事の基本中の基本とも思える事まで(ツギハギ拡張の末の「熱海の旅館化」やIT部門の事、悪い報告に対して怒るなetc…)色々とやさし~く書かれていているので、この本を読んだ人にはPJだけでなく日々の業務・会社運営の基本心得書として使って欲しいなぁと思います。
自分に一番響いたのは「費用対効果で示せない判断こそが経営幹部の仕事」のくだり。
自分は経営幹部ではないけれど意思決定の場には同席する事もあるので、目先の費用や今更この話に戻るの?といった議論が展開されることを目撃することもしばしば。
中にも書かれていますが、IT構築だけでなくPJの類は経営の強いコミットメントがなければ成功しないと思っているので、真逆の現実に長くジレンマを感じてました。
しかし、この本の中で経営幹部の仕事は違う所にある事が明言されており、電車の中で「そうそう!そうなんだよ!」と叫びそうになってしまいました。
次に、プロジェクトリーダー(PL)とマネージャー(PM)の違いや人材育成の部分。
PMスキルは市販の書籍等で学べるけれど、世にいう「巻き込み力」的な物は別物なので、どう役割の線引きをするかなど、長らく自分でもモヤモヤしていました。そこがきちんと言葉で定義されていて、目から鱗。
そうか~、確かにPMは外から調達できても内部の牽引役として人を巻き込んだり社内調整ができるPLは外部調達できないよね。(上で述べた経営幹部の状況もあり)なるほどPJやっても中途半端だったり頓挫するわけだ、と妙に納得。
人材育成は会社によってはかなり無視される部分なので、重要だということが幾度となく書かれているのが嬉しいです。
そして最後にシステムの価格の話。
勘・経験・度胸(KKD法)による価格の取り決めは、現在進行中のPJではまさに書かれているような形で進んでしまったこともあり、大笑い。
この本を1人でも多くの発注側であるユーザー企業が読んで価格に対する考え方を変えていけば、企業・システム業者の両方で遺恨やストレスなくPJを進められるようになるでしょう。
その他、自分としてはユーザーとして出来るだけ勉強してきたつもりですが、テスト工程がこれだけ手間がかかるのは考えてなかったので、そこに目を向けられたのは大きな収穫でした。今度、SEさん達を温かい目で見ようと思いました。
以上、大まかな感想でした。
個人的にはあと2年…いや、1年早く出版して欲しかった。
これが最初から社内のキーパーソンに浸透していればPJの進め方や社内の状況がすごく違っていたと思う。ここだけ残念。
とはいえ、この本自体は時間をかけずに読める上、非常に実用的。
「会社のITはエンジニアに任せるな!」は2015年度で一番楽しい本でした。
【書評】大切に生み出し、守り育てるからこそ、足枷になるのでは?
「asa nisi masa」というブログに書評を書いていただきました。
すごく重要な問題提起をしてくださっています。
この本で中心として扱う "IT" は基幹系システムであるために、ITは取り扱いに注意が必要なものであり、十分な時間をかけて作るものである。
こういうタイプのITはビジネスで非常に重要な位置付けを占めるし、先に述べたように、秀逸なプロセスを生み出す原動力だ。
このように大切に生み出し、大切に守り育てていくものであるために、ITを変化させようとする動きは緩やかになり、業務プロセスを変更する際の足枷になるおそれがあるのではないか。自社のプロセス、自社の顧客、自社の組織に最適化されたシステムであるために、企業の合併、組織の見直し、市場の変化に合わせてビジネススタイルを変化させることが難しくなるのではないか。
確かに、これは会社のITにまつわる大きなジレンマです。
業務プロセスを支えるITは組織効率やアウトプットの品質を大きく高める。しかし同時に、ITに依存することで組織力は落ち、変化しにくくなる。
この方はこのジレンマに疑問を感じて転職されたと書かれています。
同じジレンマに対して、わたしは別の道として、
・変化しにくい組織⇒変革をリードする方法を確立する
・組織力が落ちる⇒育成型コンサルティングに挑戦する
というやり方を模索してきました。
色々な道があると思います。
januaryさん、深い書評をありがとうございました!