「会社のITはエンジニアに任せるな!」特設サイト

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【書評】プロジェクト関係者全員にこの本を読んでもらうべきだった!

こちらは、現在業務改革のプロジェクトを担当しているAさんから寄せていただいた書評です。

 

「プロジェクト関係者全員にこの本を読んでもらうべきだった!」というのは、今現在、プロジェクトをリードするのに苦労している方ならではのコメントですね。

周りの人を説得するのに苦労している、Aさんの様な方の思いを言語化したい、という狙いも、この本にはあります。「言いたいことってこういうことですよね?」と。

 

なるべく本質的なことに絞って、シンプルに説明しましたので、現場で活用して貰えたらいいなーと思っています。

 

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現在、私は基幹システム導入プロジェクトに携わっておりますが、まず痛感したのは「プロジェクト関係者全員にこの本を読んでもらうべきだった!」という一言に尽きます。

ITプロジェクトが成功するか否かは、紛れもなくその上流工程で決定されることになりますが、そこで一番大切なことは「経営」「業務部門」「IT部門」の相互理解を深めることだといえます。

この本でも繰り返し3者のコミュニケーションを円滑にすすめるための様々な方策が提示されていますが、私が得心したのは
「プロジェクトリーダーは外部から持ってくることは出来ず、内部の人材から育成するしかない」
「プロジェクトリーダーが3者の中心に立ち、リーダシップを発揮する」
といった組織論的な内容まで本書が踏み込んでいるところです。

ITシステム導入というと兎角、業務要件の整理方法やERP選定の方法論、IT技術などが前面に押し出されがちですが、実はこの3者の連携度や主体的なプロジェクトリーダの存在がシステムの完成度を決定するといっても過言ではないことに読後改めて気づかされました。


また、私はこれまで基幹システムは付加価値を生まない後方支援の仕組みだと捉えていたのですが、本書ではそれを生産プラントに例え、それ自身は企業の競争優位の源泉になり得ると喝破しています。

私の会社のシステムも本書でいう「熱海の旅館」状態になっており、全体最適からは程遠い仕組みになっております。
ところが困ったことに部分的には優れているため、全体最適化を目指そうとした途端、目の前の便利機能が失われることに対する現場の抵抗が激しくなってきています。
しかし「熱海の旅館」状態は会社を挙げて脱却していかないと競争優位性も然ることながら、システムのブラックBOX化を招くことによる事業継続性の喪失にもつながる大きな問題だと認識できるようになったことは大きな収穫でした。

 

最後になりますが、システムのリプレイス理由ってITの陳腐化や業務の見直しくらいかなぁと思っていたのですが、伊勢神宮の式年遷宮に例えてもう一つの目的に言及していたのは目から鱗でした。

ITプロジェクトに関係なくとも、何かを変えたい!と日頃から思っている人全員にお勧めします。